湛水直播栽培に挑戦
【2026年1月1週号】九州・沖縄地区の若手農家が創意工夫した研究成果を発表した「令和7年九州・沖縄地区青年農業者会議」。未来の農業を切り開く若手農家が、経営課題解決のため工夫を凝らした研究内容を紹介する。

「情報を集めて、挑戦を続けていきたい」と再生二期作の試験栽培に取り組む柿迫さん
錦江町田代川原で早期水稲6ヘクタールを栽培する柿迫光樹さんは、作業の省力化を目的に、湛水(たんすい)直播栽培に挑戦している。慣行の移植栽培に比べ、播種から田植えまでの作業時間を74%削減した。
中山間地域で大小約200枚の圃場を一人で管理する。春先はジャガイモ栽培と水稲準備が重なり、作業が追いつかないのが悩みだった。打開策として湛水直播に着目し、2022年に試験栽培を始めた。
育苗など省き 作業時間削減

「近隣で取り組む農家が少ない湛水直播を、地域の選択肢として定着させたい」と柿迫さん
湛水直播は、代かき後の水田に直接種もみを播く方法。柿迫さんは建設用のコンクリートミキサーで種もみを薬剤コーティングする。動力散布機を使い、あぜから散播。発芽後に入水と除草剤散布を行う。
その後の管理は移植と同じだが、育苗と田植えを省ける効果は大きい。「田植機などを使わないで、10アール当たりの播種は5分ほど。移植と労力がまったく違う」と実感する。
技術習得には試行錯誤を重ねた。コーティングは水分量や投入のタイミングを誤るとダマになる。近隣で取り組む農家がいないため、独学で学んだ。除草管理は特に難しく「徹底した対策が収量に直結する。冬場の耕起や適期の除草剤散布が重要。克服できれば、移植を超える収量も見込める」と分析する。
農業青年クラブでの交流も支えとなっている。「突拍子もない意見でも受け入れ議論してくれる仲間がいる」と信頼を寄せ、得られた知見はSNS(交流サイト)や会合で積極的に発信する。
「『田代の米はおいしい』という評価を守り、次世代につないでいく。湛水直播を地域の選択肢として定着させたい」と先を見据える。



