ペット用ジャーキーを開発 薄く仕上げて食い付き良く
【2023年1月3週号】 錦江町宿利原地区で廃校跡地を利用した「雑貨商店やまなみ学校」を営んでいる笑喜南(しょうき みなみ)さん。義父の和則さん(67)が有害鳥獣駆除で捕獲したイノシシの肉で、加工品の開発から販売まで手がけている。
▲「さらなる需要増を期待しています」と南さん
「捕獲したイノシシは主に自家消費していましたが、残った部分は廃棄していました」と南さん。少しでも廃棄分を減らせないかと考えていたところ、「旅先でたまたま訪れた佐賀県の道の駅でイノシシジャーキーを見かけ、興味を持ったのがはじまりですよ」と話す。
当初、食肉での販売を考えていたが、加工場の増設を含め膨大な設備投資や、安定的な肉量の確保が必要となる。このことを踏まえ、和則さんの年齢と体力を考えた時に供給量が課題となった。そのため、本格的な加工場を必要とせず簡易的に作れる、ペット用ジャーキーの開発に着手した。
高タンパクなモモ肉を利用
商品開発で一番力を入れたのは、肉の厚さ。大型犬から小型犬だけでなく、猫も食べられるように1.5~2㍉にスライスし、1㍉以下の厚さになるように乾燥させる。給餌試験を繰り返し、1㍉以下の厚さが一番食い付きが良かったため採用した。
また、肉は人間があまり好まないモモ肉を使用。繊維質だが、高タンパクで低脂質だという。保存料・調味料は一切使用していない。「猟から解体の過程で内臓が傷ついてしまうと肉に臭みが染み付いてしまい、食べられなくなります。熟練の技術で解体してもらった義父のイノシシ肉だけを使っていますよ」とほほ笑む。
和則さんは2012年からハンターとして活躍していて、イノシシ猟に毎日出向き、町の鳥獣被害対策実施隊員としても活動する。多い年で年間400頭ほどのイノシシを1人で捕る“凄腕”のハンターだ。
▲商品の横には説明書きを添えて
SNSで広まり売れ行きは上々
販売当初、売り上げが伸び悩んでいたが、新聞やテレビをはじめ、交流サイト(SNS)で話題が広まり、今では県内の30~40代を中心に売れ行きは好調だ。利用客からは「量販店で販売されているペット用ジャーキーより食いつきがいい」と好評を得ている。
今後は、「骨や内臓系を使った商品を開発して廃棄される部分をもっと減らしていきたい。また、マルシェなどを通じて宿利原地区の新たな魅力を発信し、盛り上げていきたいですね」と話す。