安納芋 全国区に地域の誇り

収獲した安納芋を手に中園さん。徹底した土作りで高品質を実現した
【2025年10月4週号】「全国で安納芋の名が通じることに、地域の誇りを感じる」と話す西之表市安納の株式会社中園ファーム代表・中園大輔さん(48)。安納芋14.5ヘクタールを栽培し、安定生産と品質向上に取り組んでいる。
安納芋は種子島の在来作物で、しっとりした食感と後から広がるすっきりした甘さが特長。温暖な気候を背景に他産地より収穫が早く、今作は10アールあたり収量2.5トンから3トンを見込む。一般的な青果用サツマイモより2~3割高く取引され、地域の主力品目となっている。
徹底した土作りで基腐病を抑制
2019年のサツマイモ基腐病では収穫量が平年の2割まで落ち込んだ。「どうすれば守れるか必死に考えた」と中園さん。圃場の排水性を見直し、乳酸菌や納豆菌などの微生物資材を活用。畜産を担う弟の昌吾さんと連携して良質な牛ふん堆肥を投入するなど、土作りを徹底した結果、被害の軽減に加え品質向上も実現した。
キュアリング設備を24年に導入。収穫後は温度42度・湿度95%で23時間処理し、14度で冷蔵することで、品質と貯蔵性を高めている。「今作は形・味・収量のバランスが過去にない良い出来」と笑顔を見せる。
GI登録 さらなる飛躍へ
22年には「種子島安納いも」がGI(地理的表示保護制度)に登録。「病害に苦しんでいた産地にとって、前向きに取り組む契機となった。商談の場でも声をかけてもらえるようになった」と話す。
「今後は加工品の生産を拡大し、周年で収入を確保したい。担い手の高齢化や病害で作り手は減ったが、安納地区で育てる誇りを持って、特別な芋にふさわしい味を追求していく」と意欲を見せる。



